目次
冬と東洋医学:東洋医学が捉える冬の過ごし方
お灸の基礎知識:お灸の効果と種類
お灸の種類と特徴:お灸の種類と効果など
冬におすすめのツボ:冷え、疲労、免疫力アップに効くツボ
まとめ:お灸の効果を高めるコツ:食事や生活習慣との組み合わせ
お灸の効果を高めるコツ:食事・運動・睡眠など
1. 冬と東洋医学
東洋医学では、冬は一年の中で陰の気が最も強まる季節とされ、身体を温め、内臓を休ませることが大切だと考えられています。特に、腎(じん)の働きが低下しやすく、冷えやむくみ、腰痛など、様々な不調が出やすくなります。
2. お灸の基礎知識
お灸の効果は、温熱刺激によるものが大きいですが、もぐさ(艾)に含まれる成分によってもたらされる効果も期待できます。
もぐさとは、ヨモギの葉の裏側にある白い毛を乾燥させたもので、様々な成分が含まれています。その中でも、シネオールという成分が注目されています。シネオールは、
鎮痛作用: 痛みを和らげる効果
抗炎症作用: 炎症を抑える効果
殺菌作用: 殺菌効果
リラックス効果: リラックス効果
などが期待できる成分です。
お灸の効果をまとめると
温熱効果: 血行促進、筋肉の緩和、痛み軽減など
もぐさの薬効: 鎮痛、抗炎症、殺菌、リラックス効果など
経穴(ツボ)刺激: 生理機能の調整、自律神経の安定など
これらの複合的な効果によって、お灸は様々な症状の改善に役立つと考えられています。
その他の効果
免疫力向上: 温熱刺激によって白血球が活性化され、免疫力が向上すると言われています。
自律神経の安定: 温熱刺激が自律神経に作用し、バランスを整える効果が期待できます。
代謝促進: 血行が良くなることで、新陳代謝が活発になり、疲労回復を促します。
注意点
効果には個人差があります: 同じようにお灸をしても、効果の出方は人によって異なります。
3. お灸の種類と特徴
① 直接灸
特徴: もぐさを直接皮膚に置き、燃やします。効果は直接的に高いものが多いですが、専門家が行うことが多い方法です。
種類:
艾葉: 生のヨモギを乾燥させたものをそのまま使用します。
練り灸: もぐさを練りこんで棒状にしたもので、家庭で使いやすいタイプです。
メリット:
ツボへの刺激が強く、効果が出やすい。
短時間で温熱効果を得られる。
デメリット:
火傷のリスクが高い。
初心者には扱いが難しい。
② 間接灸
特徴: もぐさと皮膚の間に間隔を置いて燃やします。火傷のリスクが低く、初心者でも比較的安全に行えます。
種類:
台座灸(せんねん灸など): もぐさを乗せる台座があり、皮膚に直接火が触れないようになっています。
隔物灸: 紙や塩などを介して、もぐさを燃やします。
棒灸: もぐさを棒状にしたもので、台座を使わずに燃やします。
メリット:
火傷のリスクが低い。
温熱効果が穏やかで、長時間続けやすい。
デメリット:
直接灸に比べて効果が出るまでに時間がかかる場合がある。
③その他
温灸器: 電気やガスなどを利用して、もぐさを燃やしたり、温熱を発生させたりする器具。
灸頭針: 針に灸を付けて燃やし、鍼灸治療と温熱療法を同時に行う方法。
温灸シート: シート状のもぐさを貼って使用するもので、手軽に温熱療法を行えます。
※お灸を選ぶ際のポイント
体質: 冷え性の人は温熱効果の高い直接灸、火傷しやすい人は間接灸など、体質に合わせて選びましょう。
症状: 症状によって使用するツボが異なるため、それに合ったお灸を選びましょう。
経験: 初心者は、火傷のリスクが低い間接灸から始めるのがおすすめです。
目的: 温熱効果を得たいのか、ツボを刺激したいのか、目的によって選びましょう。
4. 冬におすすめのツボ
腎兪(じんゆ):『命門』のツボから指二本分外側、ウエストのくびれのラインの高さにあるツボ。腎の働きを助け、全身を温める効果がある。
命門(めいもん):背中の腰の真ん中、おへその真後ろにあるツボ。生命力の源と言われ、身体全体のバランスを整える。
三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指3-4本上の脛骨の内側にあるツボ。冷え性、生理痛、婦人科系の不調に効果がある。
湧泉(ゆうせん):足の裏、足の指を曲げた際にできるくぼみにあるツボ。全身の血行を促進し、疲労回復に効果がある。
足三里(あしさんり):膝蓋骨の外、お皿の下から指4本下の最もくぼんでいる外脛骨(がいけいこつ)と腓骨(ひこつ)の間にあるツボ。消化機能の改善、免疫力アップに効果がある。
5. 自宅でやってみよう!自宅灸の方法<お灸、ライター、灰皿を準備>
ツボの位置を確認する:図や模型などを参考に、正確なツボの位置を確認する。
皮膚の状態をチェックする:外傷や皮膚炎など、皮膚疾患がある場所は避ける。
もぐさ(せんねん灸/台座灸)を準備する:慣れるまでは市販の台座のついているお灸を選んでみましょう
火をつける:まずはお灸を手の甲などに乗せ、線香やライターで、もぐさに火をつける。ライターを使う場合はお灸の位置から離れた位置で着火し、徐々に火を近づける。
ツボに置く:しっかりと火がついたもぐさを、あらかじめ決めておいたツボに置く。この時、洋服などが覆い被さらないようにしっかりとお灸する場所の皮膚を出すこと。
熱さを感じる:皮膚に乗せた最初はほとんど熱さが感じなくても、徐々に3分くらいかけて熱さが増していくので火が消えて灰になるまではゆっくりとリラックスしながら温まる感覚を楽しめる。灰が途中で落ちることのないように体を動かさずにじっとして楽しみましょう。台座灸には熱さの種類がさまざまにあるので、自分に合った熱さを見つけてみましょう。初心者は『ソフト』から始めるのがおすすめ。
お灸を外す:手元に灰皿を必ず用意して始めましょう。熱さを感じたらまずは我慢をせずに、皮膚からお灸を外すして灰皿に移す。この時、台座が熱くなっている場合があるので十分に気をつけて素早く外すこと。
※万が一強く赤みが出たり、皮膚が白っぽく色が抜けたりした場合は低温やけど(水ぶくれ)になる可能性があるため、すぐに冷やしてください。
6. お灸の効果を高めるコツ
食事:温かいものを食べ、体を温める食材(生姜、ネギ、ニンニクなど)を積極的に摂る。
運動:適度な運動をすることで、血行が促進され、お灸の効果がアップする。
睡眠:質の高い睡眠をとることで、体の回復を促す。
リラックス:リラックスできる環境で、お灸を行う。
まとめ
冬は、慢性的な冷えから血行不良による体調不良が出やすい季節です。冷えている部位を放置せず、血流を良くするためにしっかりと温めることが大切です。お灸は、手軽にできる温熱療法、よもぎの薬草療法として、古くから親しまれてきました。この記事で紹介したツボや方法を参考に、ご自身の体質や不調に合わせて、お灸を取り入れてみてはいかがでしょうか。
『恵比寿からだとこころ』では皆様にご自宅での施灸をお勧めしております。店舗内でお灸の仕方などもお教えしております。
注意点
お灸は、やけどなどの危険が伴います。初めての方は、必ず鍼灸師など専門家ご相談ください。
妊娠中の方、高熱・感染症の方、出血しやすい方などは、独断でのお灸を控えるようにしましょう。
その他
お灸の種類やツボの組み合わせは、体質や症状によって異なります。
市販のお灸キットには、詳しい使用方法が記載されていますので、必ずご確認ください。
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